
日本で親しまれる7柱の神様「七福神」とはⅡ

七福神の色々
1 お正月の七福神が乗った「宝船」
お正月に七福神が乗った「宝船」の絵を枕の下に敷いて寝ると、良い初夢が見られ、その一年が幸せになるという江戸時代から続く風習があります。
① 宝船の絵と「回文」
宝船の絵には、上から読んでも下から読んでも同じになる「回文(かいぶん)」の歌が書かれているのが正式なスタイルです。
・「なかきよの とのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」
(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)
【意味】:「長い夜の深い眠りから皆が目覚め、波に乗って進む船の音が心地よく響いている(=新しい夜明け、素晴らしい一年の始まり)」という非常に縁起の良い歌です。
② おまじないのやり方
絵を用意する: 七福神と宝物が載った「宝船」の絵(裏に上記の回文が書かれたものなど)を用意します。
・枕の下に敷く: 正月の夜(元日または2日の夜)に、その絵を枕の下に忍ばせて眠ります。
・良い夢を願う: 「良い初夢が見られますように」と願いながら眠りにつきます。
③ もし「悪い夢」を見てしまったら?
もし怖い夢や縁起の悪い夢を見てしまっても、大丈夫です。以下の対処法があります。
・「バクに食べてもらう」: 「昨日の夢はバク(悪夢を食べる伝説の生き物)にあげます」と唱えます。
・「川に流す」: 宝船の絵を川に流したり、土に埋めたりして「悪い運」を流し去るという儀式もあります。
2 七福神の並び順には?
公式な「絶対の正解」はありません。しかし、江戸時代の浮世絵や現代の宝船の置物など、一般的に「美しく見える」とされる定番の並び方(配置ルール)がいくつか存在します。
① 宝船に乗る時の「センター」
宝船の絵やつるし雛などでは、中心(メイン)に座る神様が決まっていることが多いです。
・恵比寿・大黒(ペア): 最も人気があるため、船の中央や前方に並んで配置されます。
弁財天: 紅一点のため、中央に華やかに配置されることがよくあります。
・布袋尊: 体が大きく存在感があるため、中央奥にどっしりと構える形が定番です。
② 「対(つい)」になる配置
左右対称に並べる場合、ご利益やルーツが似た神様を対にすることが一般的です。
・向かって左:大黒天 / 向かって右:恵比寿(「左大黒、右恵比寿」は、日本の家々の神棚でも最も一般的な並び順です)
・向かって左:福禄寿 / 向かって右:寿老人(似た姿の二人を左右に振り分けます)
③ 七福神巡り(参拝)の順番
「七福神巡り」をする際は、並び順ではなく「地理的なルート」で決まります。
例えば、日本最古の七福神巡りとされる京都の「都七福神」や、東京の「谷中七福神」などは、歩きやすい順番で回るのがルールです。
④ 儀式や掛軸での順番
格式を重んじる場合、以下のような順番で語られたり並べられたりすることがあります。
・恵比寿(日本の神・商売)
・大黒天(インド/日本・豊作)
・毘沙門天(インド・守護)
・弁財天(インド・芸能)
・福禄寿(中国・知恵)
・寿老人(中国・長寿)
・布袋尊(中国・福徳)
結論として、ご自宅で置物を並べる際などは、「中央に大黒・恵比寿、その脇を他の神様が固める」という形にすると、最もバランスが良く縁起が良いとされています。
3 宝船の宝
七福神が乗る「宝船」には、単なる金銀財宝だけでなく、一つひとつに深い意味が込められた「七宝(しっぽう)」や縁起物が積まれています。
これまでの解説と同じ形式で、宝船の代表的なお宝についてまとめました。
① 隠れ笠(かくれがさ)と隠れ蓑(かくれみの)
お宝の「二つの側面」姿を消すことができる魔法のアイテムであり、災難を避ける象徴です。
・「隠身(かくれみ)」の術:天狗や鬼が持つとされる伝説の道具で、身に着けると姿が見えなくなります。
・「守護」の力:姿を消すことで、自分に降りかかる災難や魔物から身を隠し、安全を守ってくれるという意味があります。
・なぜ「幸運」のお宝なの?危険から身を守り、平穏に過ごせることを願う道具です。
・「災難除け」:予期せぬトラブルや病気から逃れ、無事に過ごせることを象徴しています。
・日本独自の信仰:神様の降臨。日本では、蓑や笠は神様が異界からやってくる際に身に纏うものと考えられてきました。
・「客神(まろうどがみ)」:正月に福をもたらしにやってくる神様が、これらを脱いで家に入ってくると信じられていたため、縁起物となりました。
② 打出の小槌(うちでのこづち)
お宝の「二つの側面」振れば願いが叶う魔法の道具と、努力の象徴という側面があります。
・「大黒天」の持ち物:大黒様が振ることで、米や金銀が次々と溢れ出します。
・「一寸法師」の道具:おとぎ話でも、体を大きくしたり宝を出したりする「願いを叶える象徴」として描かれます。
・なぜ「幸運」のお宝なの?「振る(ふる)」という言葉が「振興(ふりおこす)」に通じ、運気を上げる力があります。
・「千客万来」:商売において、お客や注文が次々と舞い込む様子を象徴しています。
・日本独自の信仰:土を打つもともとは農業において「土を打つ(耕す)」動きが、富を生み出す原点であると考えられていました。
③ 金嚢(きんのう)と宝鑰(ほうやく)
お宝の「二つの側面」富そのものと、その富を管理するための知恵(鍵)です。
・「金嚢(巾着)」:お金や宝物がパンパンに詰まった袋。一度入ったら出ていかない「貯蓄」の象徴です。
・「宝鑰(ほうやく)」:宝物庫を開けるための鍵。蔵の中に眠る価値あるものを引き出す力を表します。
・なぜ「幸運」のお宝なの?財産を得るだけでなく、それを正しく使い、守ることを示しています。
・「財運上昇」:お金に困らず、豊かな生活を送れることをストレートに願うアイテムです。
・日本独自の信仰:蔵の神様。日本では「蔵を建てる」ことが成功者の証であったため、蔵の鍵を持つことは最高のステータスとされてきました。
④ 巻物(まきもの)と軍配(ぐんばい)
お宝の「二つの側面」人生を導く知恵と、進むべき方向を指し示すリーダーシップです。
・「巻物」:福禄寿が持つ、知恵や寿命が記された経典。正しい知識を得ることを象徴します。
・「軍配」:布袋尊などが持ち、風向きを変えたり、物事を決断したりする力を表します。
・なぜ「幸運」のお宝なの?ただお金があるだけでなく、賢く、迷わずに生きるための力です。
・「立身出世」:正しい判断で成功を収め、人の上に立つことを願うお宝です。
・日本独自の信仰:家運を操る。軍配で良い風(運気)を呼び込み、悪い風を追い払うという「運気コントロール」の道具として親しまれました。
宝船には他にも、珊瑚(さんご)や金銀の分銅(ぶんどう)など、当時の人々が憧れた最高級の贅沢品が山盛りにされています。
4 「打ち出の小槌」と「大きな袋」
大黒天が手に持っている「打ち出の小槌」と背負っている「大きな袋」には、ただの道具ではない、深い意味と願いが込められています。
① 打ち出の小槌(うちでのこづち)
「振れば何でも願いが叶う」魔法のアイテムとして有名ですが、本来の意味はもっと実利的です。
・「土を打つ」象徴:もともとは農業で土を耕し、豊作を願う動きからきていると言われています。
・「怠け心を打つ」:自分の弱い心を打ち払い、一生懸命働くことで福を呼び寄せる、という戒めの意味も含まれています。
② 大きな袋
サンタクロースのようにプレゼントが入っているイメージがありますが、実は中身は目に見える宝物だけではありません。
・「七宝(しっぽう)」:仏教で説かれる、金・銀・瑠璃などの7つの宝が入っているとされます。
・「徳」と「忍耐」:中身は「人々の悩みや苦労」であり、大黒様がそれを代わりに背負って、代わりに「福」を分け与えてくれるという慈悲の象徴でもあります。
③ 米俵(こめだわら)とネズミ
大黒様の足元にはよく米俵があり、その傍らにネズミが描かれることがあります。
・「食い扶持」に困らない:ネズミは食べ物が豊富なところにしか現れないため、ネズミがいることは「家が豊かである証拠」とされました。
・干支の「子(ね)」:大黒様の使いはネズミ(子)とされ、これが商売繁盛の象徴となりました。
5 七福神の聖地巡礼
七福神巡りは、江戸時代から続く「最も身近な聖地巡礼」です。有名な場所と、お参りする際のちょっとしたコツをまとめました。
① 日本の代表的な七福神巡り
地域ごとに特色があり、散策コースとしても人気です。
・日本最古:都七福神(京都)室町時代に始まったとされる元祖。萬福寺(布袋尊)や東寺(毘沙門天)など、京都の名だたる寺社を巡る壮大なコースです。
・江戸最古:隅田川七福神(東京)向島界隈を歩くコース。江戸時代の文化人が始めたと言われ、スカイツリーを眺めながら下町情緒を楽しめます。
・人気スポット:鎌倉江の島七福神(神奈川)江の島の弁財天を中心に、古都・鎌倉の寺社を巡ります。観光とセットで楽しめるため、非常に人気があります。
② 参拝のコツ:これを知っているとより福が来る!
ただ回るだけでなく、以下のポイントを意識するとより楽しめます。
・「御朱印」や「色紙」を集める
各社寺で専用の色紙が用意されていることが多いです。そこに一つずつ朱印を押してもらい、七つすべて揃うと、自分だけの「宝船(福のセット)」が完成します。
・「松の内」がベストタイミング
本来は元日から1月7日(または15日)までの「松の内」に巡るのが最も縁起が良いとされますが、最近では通年で受け付けている場所も増えています。
・「順番」にこだわらなくてOK
どこから始めても、どこで終わってもご利益に変わりはありません。自分のペースで、一歩一歩「福」を拾い集める気持ちで歩くのが大切です。
③ お参りの作法:神様と仏様の違い
七福神は「神道(神社)」と「仏教(お寺)」の神様が混ざっています。
・神社(恵比寿など):二礼・二拍手・一礼
・お寺(大黒天、毘沙門天など):静かに合掌・一礼
・場所によって作法を使い分けると、より丁寧な参拝になります。




