出雲大社は、出雲大国側か天皇側なのか?

出雲大社は、出雲大国側か天皇側なのか?

出雲大社は、神話の文脈では「出雲(国つ神)側」の象徴だが、その成立や祭祀の歴史においては「天皇(天つ神)側」と深く結びついていて、両者の「和解と共生」を象徴する場所といえる。

どちらの側面が強いかを3つの視点から整理してみる。

1 祀られている神様は「出雲側」
出雲大社の主祭神は、地上世界の主であった大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)である。
国譲り神話:天照大御神(天皇の祖先)の使者に対し、大国主が地上世界の統治権を譲る代わりに、自分を祀るための「立派な宮殿」を建てるよう願い出て建立されたのが出雲大社とされている。
国つ神(くにつかみ):日本神話において、天皇家の祖先である「天つ神」に対し、もともと地上にいた土着の神々を「国つ神」と呼び、大国主はその筆頭なのだ。

2 運営(宮司家)は「天皇側」の祖先
出雲大社の祭祀を代々司っているのは出雲国造(いずもこくそう)家(現在の千家氏)だが、その祖先は天照大御神の第2子である天穂日命(あめのほひのみこと)なのだ。
天穂日命はもともと大国主を監視・説得するために天から派遣された神で、大国主に心酔し、そのまま彼に仕えて祭祀を司ることになった。
つまり、「天皇と同じルーツを持つ神」が「出雲の神」を祀るという、監視と和解が融合した特殊な体制になっている。

3 天皇との現代の関係
歴史的に見ても、出雲大社と天皇家は対立関係ではなく、深い敬意で結ばれている。
天皇の参拝:天皇陛下は慣習として本殿内には入ることはできないが、これは「大国主という強大な神への敬意」や「天つ神と国つ神の境界を守る」ためのしきたりとされている。
皇室との縁:2014年には高円宮家の典子女王殿下が、出雲大社の権宮司である千家国麿氏と結婚していて、現代においても両家は親密な関係にあるようだ。