
日本神話とは何を綴ったものか?その陰には何が?その全貌を見てみる!Ⅳ
神々の存在を次の記号により明記(神名の前についている記号)してあります。
◎⇒歴史上実在していた神々
○⇒歴史上実在していたのではないかと思われる神々
・⇒歴史上確認できない神々または架空の神々
★⇒現存する古墳等の詳細

●13 第10代:崇神天皇 周辺・ 実在の可能性が高い「初の国治らす大王」
実在の可能性が高いとされる「御肇國天皇(はつくにしらすすめらみこと)」の時代です。
疫病の流行を収めるための祭祀(三輪山神話)や、四道将軍の派遣による全国規模の統治が本格化しました。
歴史的視点: 巨大な前方後円墳(箸墓古墳など)の築造開始時期。宗教改革を断行し、三輪山の蛇神を祀ることで疫病を鎮めたという伝承は、在来の宗教勢力を王権の管理下に置いたことを示します。
◎御真木入日子印恵命(みまきいりびこいにえのみこと)/ 10代:崇神天皇:男性
+実在の可能性が極めて高い最初の大王の一人です。全国的な疫病を祭祀で鎮め、四道将軍を各地に派遣して大和王権の支配を日本各地へ広げました。
〇御真津比売命(みまつひめのみこと):女性
+崇神天皇の皇后(正妃)です。有力な王族の出身であり、天皇の傍らで初期王権の安定を支えた女性です。
〇意富阿羅比売(おおあらひめ):女性
+崇神天皇の妃の一人です。地方豪族(尾張氏系など)の血を引くとされ、王権と地方勢力の結びつきを象徴しています。
〇豊木入日子命(とよきいりひこのみこと):男性
+崇神天皇の皇子で、東国(現在の群馬県・栃木県付近)の統治を任されたとされます。後の上毛野氏・下毛野氏といった有力氏族の祖先となりました。
〇八坂入日子命(やさかいりひこのみこと):男性
+崇神天皇の皇子です。その娘(八坂入媛命)が次代の景行天皇の后となり、皇統を次へ繋ぐ重要な役割を果たしました。
〇大入杵命(おおいりきのみこと):男性
+崇神天皇の皇子です。能登(石川県)方面の開拓に携わったとされ、地方に派遣された王族の一人として記録されています。
・大物主神(おおものぬしのかみ):男神
+奈良の三輪山に鎮まる強力な神です。崇神天皇の時代に疫病を流行らせましたが、正しく祀ることで国家の守護神となりました。蛇神や雷神の性格も持ちます。
〇活玉依毘売(いくたまよりびめ):女神
+三輪山の神(大物主神)に見初められた伝説の美女です。神の子を宿し、その子孫が三輪氏(祭祀を司る一族)になったという伝承のヒロインです。
〇意富多多泥古(おおたたねこ):男性(三輪氏の祖)
+三輪山の神の子孫として見出された人物です。崇神天皇に招かれ、大物主神を祀る神主となったことで疫病を鎮めました。三輪氏(大神氏)の実在の祖とされます。
〇小名日子建猪心命(すくなひこたけいごころのみこと):男性
+崇神天皇の皇子です。神話的な名を持ちますが、王権の拡大期に各方面で活躍した皇族の一人として系譜に名を連ねています。
★行燈山古墳(あんんどやまこふん)
場所:奈良県天理市(柳本町)
背景:全長242mの巨大前方後円墳。 考古学的にも3世紀後半〜4世紀初頭の築造で、実在した「初の広域大王」の墓として極めて信憑性が高いとされます。

●14 第11代:垂仁天皇 周辺・祭祀の整備と野見宿禰
祭祀と文化が大きく発展した時代です。
伊勢神宮の創建(ヤマトヒメの巡行)や、殉死の禁止、相撲の起源(野見宿禰)など、国のかたちがより洗練されていきました。
歴史的視点:殉死に代わる「埴輪」の導入伝承は、強力な王権による「残酷な儀礼の廃止と象徴化」への進歩を示します。伊勢神宮の起源も、大和から東方への権威拡大を意味します。
◎伊久米伊理毘古伊佐知命(いくめいりびこいさちのみこと)/ 11代:垂仁天皇:男性
+実在性が極めて高い大王です。伊勢神宮の創建や、野見宿禰(のみのすくね)による相撲の創始、殉死の禁止と埴輪(はにわ)の導入など、現代に続く日本の文化や祭祀の基礎を整えました。
〇狭穂毘売命(さほびめのみこと):女性
+垂仁天皇の最初の后です。兄の狭穂彦王(さほひこ)が反乱を起こした際、兄と夫の板挟みになり、悩み抜いた末に兄と共に炎の中で命を落とすという、記紀神話屈指の悲劇のヒロインです。
〇比婆須比売命(ひばすひめのみこと):女性
+狭穂毘売亡き後、皇后となった女性です。丹波(京都府)の有力豪族の娘で、彼女の葬儀の際に初めて殉死を禁じ、代わりに埴輪を立てる習慣が始まったと伝えられています。
〇本牟智和気王(ほむちわけのみこ):男性
+垂仁天皇と狭穂毘売の息子です。成人しても言葉を話せませんでしたが、出雲へ参拝に向かった際に初めて言葉を発したという不思議な伝承を持つ皇子です。
〇丹波比売命(たにわのひめのみこと):女性
+比婆須比売命の妹の一人です。姉と共に垂仁天皇の后となりました。当時の王権が、丹波という日本海側の交通・文化の要衝と極めて強い同盟関係にあったことを示しています。
★古墳等:宝来山古墳(ほうらいざんこふん)
場所:奈良県奈良市(尼辻町)
背景:全長227mの前方後円墳。濠の中に、不老不死の果実(橘)を探しに行った田道間守(タジマモリ)の小さな墓(島)があるのが特徴的です。

●15 第12代・第13代天皇とヤマトタケル・日本全土への征服遠征
景行天皇の皇子ヤマトタケルが、西へ東へ遠征し、王権の支配域を劇的に広げた時代です。
悲劇のヒーローとしての物語とともに、大和が名実ともに日本列島の中心となっていく様子が描かれます。
歴史的視点: 鉄剣の普及により軍事力が飛躍的に向上。景行天皇の時代は、九州や東国の豪族を武力で平定した「大和王権の版図拡大」のピークを、タケルという英雄に集約して描いています。
◎大帯日子建日子止呂別命(おおたらしひこたけひことろわけのみこと)/12代:景行天皇:男性
+自ら九州へ遠征し、土着の勢力を平定したエネルギッシュな大王です。多くの皇子を各地に封じ、王権のネットワークを広げました。
○播磨伊那毘能大郎女(はりまのいなびのおおいらつめ):女性
+景行天皇の后で、ヤマトタケルの母です。播磨(兵庫県)の有力豪族の娘であり、瀬戸内海航路を握る勢力との結びつきを象徴しています。 +
○櫛角別王(くしつのわけのみこ):男性
+景行天皇の皇子です。茨木(大阪府)付近の豪族の祖とされ、王権の直系家族が地方経営に乗り出した実例の一人です。
○小碓命(おうすのみこと):男性
+ヤマトタケルの本名(あるいは双子の兄)です。兄として描かれる場合は、粗暴な振る舞いのために弟(タケル)に殺害されるという衝撃的なエピソードを持ちます。
○倭建命(やまとたけるのみこと):男性
+日本神話最大の英雄。草薙剣を手に西の熊襲や東の蝦夷を平定しましたが、遠征の帰路、三重の能褒野(のぼの)で病に倒れた悲劇の皇子です。
○若日子建吉備津日子命(わかひこたけきびつひこのみこと):男性
+吉備(岡山)の平定に関わった皇族です。この名を持つ人物は複数回登場し、吉備という強大な地方勢力をいかに重視していたかが伺えます。
○五百木入日子命(いおきいりひこのみこと):男性
+景行天皇の皇子です。この系統は後に東国の開発や統治に深く関わり、地方の有力氏族の源流となりました。
○五百木入日売命(いおきいりひめのみこと):女性
+景行天皇の娘(または妃)です。皇族内での婚姻により、血統の貴種性を保つ役割を担いました。
◎若建吉備津日子命(わかたけきびつひこのみこと)/13代:成務天皇:男性
+ヤマトタケルの異母兄弟です。諸国の境界(国郡)を定め、行政組織を整えた「内政の神」として知られる実在性の高い大王です。
★白鳥陵(しらとりのみささぎ)
場所:奈良県御所市 / 大阪府羽曳野市(軽里大塚古墳)
背景:ヤマトタケルが死後、白鳥となって飛んでいったとされる伝説の墳墓。羽曳野市のものは全長190mの前方後円墳です。

●16 ヤマトタケルの系譜と第14代天皇・仲哀天皇と神功皇后
ヤマトタケルの子である仲哀天皇の時代です。
熊襲(九州)征伐や、神の託宣を巡る対立など、次代の神功皇后による海外遠征へと繋がる動乱の予兆を含んでいます。
歴史的視点: 対朝鮮半島政策の本格化。王権内の内部抗争(香坂皇子・忍熊皇子の乱)は、後継者争いが激化したことを物語ります。住吉大神などの海上守護神の地位が確立されました。
○美夜受比売(みやずひめ):女性
ヤマトタケルの最後の妻です。尾張(愛知県)の有力豪族の娘。東征帰りの夫から、神剣「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を託されました。これが現在の熱田神宮の始まりと伝えられています。
○弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと):女性
+ヤマトタケルの東征に同行した妃です。走水の海(浦賀水道)で荒れ狂う海神を鎮めるため、自ら海に身を投じて夫の進路を切り拓いた、献身と勇気の女神として崇められています。
◎足仲彦能命(たらしなかつひこのみこと)/14代:仲哀天皇:男性
+ヤマトタケルの息子です。父に似て体躯が大きく、各地の反乱を鎮めるために奔走しました。神の託宣を信じなかったために急死したという伝承がありますが、実在した初期の大王の一人と考えられています。
○大碓命(おおうすのみこと):男性
+ヤマトタケルの双子の兄です。父・景行天皇の命令に従わなかったり、弟のタケルに(一説には)殺害されたりと、悲劇的な脇役として描かれますが、美濃(岐阜県)の豪族の祖とされています。
◎息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)/神功皇后:女性
+仲哀天皇の妃であり、夫の死後に自ら軍を率いて朝鮮半島へ渡った伝説的な女帝です。応神天皇を身籠ったまま戦い、勝利して帰還したという「聖母(しょうも)」的な信仰を集め、武勇と安産の神として知られます。






