前穂高から岩稜帯を縦走してみたいⅢ!

登山探検 前穂高から岩稜帯を縦走してみたいⅢ!

前穂高岳◆(重太郎新道)~奥穂高岳(岩稜大縦走コース)~涸沢岳北穂高岳南岳中岳大喰岳~槍ヶ岳(槍沢コース)

朝6時35分、お世話になった槍ヶ岳山荘を出発。振り返れば、朝日に照らされた槍ヶ岳が「また来いよ」と言わんばかりに鋭く天を突いています。右手を見上げれば、稜線に建つヒュッテ大槍が小さく見え、昨日までの岩稜帯の緊張感が嘘のように、穏やかな下山が始まります。

振り返ると槍ヶ岳・大曲まではガレ場が多く歩きずらい。

しかし、穏やかなのは景色だけ。槍沢を下り始めてすぐの「大曲」あたりまでは、ゴロゴロとした岩が転がるガレ場が続きます。浮き石に乗らないよう、一歩一歩に神経を使います。このあたりの道は歩きづらく、足首を捻らないよう注意が必要です。何度も振り返っては、少しずつ遠ざかる槍ヶ岳の姿をカメラに収めました。

槍沢キャンプ地

標高を下げていくと、周囲に緑が増え、水の流れる音が聞こえてきます。槍沢キャンプ地に到着すると、カラフルなテントが並び、これから槍を目指す登山者たちが準備をしていました。ここから眺める槍ヶ岳もまた格別です。

横尾山荘の広場

さらに下り、8時55分に槍沢ロッジを通過。ここからは道も整備され、歩きやすい樹林帯へと変わります。8月下旬の高山植物、トリカブトの紫や、終わりかけのチングルマの綿毛が風に揺れ、秋の気配を運んできます。

横尾大橋

10時05分、ついに横尾に到着。ここは涸沢、槍、蝶ヶ岳へと向かう道の合流点。広い広場には多くの登山者が憩い、活気に満ち溢れています。立派な横尾大橋を眺めると、北アルプスの懐に抱かれていることを実感します。

登山者はほぼ使わない新村橋

横尾からは、梓川沿いの平坦な道をひたすら歩きます。途中、一般の登山者はまず渡ることのない「新村橋」を横目に通り過ぎます。奥又白池や前穂高岳東壁を目指すクライマーたちが使う、どこかストイックな雰囲気の漂う橋です。

氷壁の宿 徳澤園内の食堂「みちくさ食堂」

11時ちょうど、徳澤に到着。ここは井上靖の小説『氷壁』の舞台となった場所。美しい芝生広場に建つ「徳澤園」は、まるでヨーロッパの山岳リゾートのような趣です。

徳澤園

我慢できずにみちくさ食堂へ。ここの名物ソフトクリームを食べるのが楽しみでしたが、今回は食堂の雰囲気を味わうだけに。木の温もりを感じる落ち着いた空間は、長旅の疲れを癒してくれます。

梓川にかかる河童橋

徳澤からさらに1時間足らずで明神に到着。明神岳の雄大な姿を仰ぎ見ながら、旅の終わりが近いことを悟ります。ここからの道は観光客の方も多くなり、挨拶を交わしながら河童橋を目指します。

12時35分、ついに河童橋に到着!橋の上から、昨日歩いた前穂高岳、奥穂高岳、そして岳沢を一望します。「あんな高いところを歩いていたのか」と、自分の足で繋いできた奇跡のような稜線に、胸が熱くなりました。

上高地バスターミナルに併設されているアルピコショップとインフォメーションセンター

上高地バスターミナルに併設されている「アルピコショップ」とインフォメーションセンターで、最後のお土産チェックと登山届の提出完了を確認。

今回の縦走で登頂した、前穂高岳・奥穂高岳・北穂高岳・南岳・中岳・大喰岳・槍ヶ岳。この7座のプレートを並べて眺めると、2泊3日の苦労と感動が鮮明に蘇ります。

前穂高岳・奥穂高岳・北穂高岳・南岳・中岳・大喰岳・槍ヶ岳のプレート

上高地を後にし、高速バスに揺られてバスタ新宿へ。19時17分、予定通り新宿に到着しました。登山の余韻に浸りながらも、頭の中は翌々日に控えた大学の同窓会の準備へ。新宿の喧騒の中に立っていると、つい数時間前まで槍ヶ岳の頂にいたことが夢のように感じられます。

重太郎新道の急登、大キレットの緊張感、そして槍ヶ岳の圧倒的な存在感。この2泊3日は、私の登山人生においても忘れられない記録となりました。北海道の山々も素晴らしいですが、北アルプスの険しくも美しい岩の殿堂は、やはり何度来ても心躍るものです。

【登山データ:3日目】
コースタイム合計: 約6時間00分(標準7時間20分)
槍ヶ岳山荘6:35~8:55 槍沢ロッジ 通過~10:05 横尾~11:00 徳澤~11:45 明神~12:35 上高地
歩行距離: 20.3km・累積標高差: 登り 232m /下り 1,797m
3日間累計データ:総歩行距離:35.8km・総行動時間:24時間15分(休憩・穂先往復含む)