荒川岳・赤石岳を登ってみたいⅢ!

登山探検 荒川岳・赤石岳を登ってみたいⅢ!

荒川岳◆(蕨段コース)千枚岳丸山悪沢岳中岳前岳小赤石岳赤石岳

最終日となる3日目。昨夜、赤石小屋の前庭で赤石岳を眺めながら堪能したビールの余韻を残しつつ、私たちは長い下山路へと足を踏み出しました。
下山日の朝は、寂しさと達成感が入り混じる独特の空気感があります。赤石小屋を早朝に出発し、東尾根を下り始めると、まだ眠りの中にいるような静かな森が私たちを包み込みました。南アルプスの下山は、標高差があるだけに単調で長い道のりになりがちですが、この日は特別なプレゼントが待っていました。

東尾根からの日の出と富士山

木々の隙間から東の空がオレンジ色に燃え始めると、そこには再び、気高くそびえる富士山のシルエットが。北海道では決して見ることのできない、この完璧なまでの円錐形。単調になりがちな下り坂で、足を止めるたびに現れる富士の姿は、疲れた膝に魔法をかけてくれるようでした。朝日に照らされた南アルプスの山肌が刻一刻と色を変えていく様は、何度見ても飽きることがありません。

Rest House 椹

椹島のアイスクリーム

急峻な東尾根をひたすら下り、ようやく標高を下げてくると、空気の密度が濃くなり、夏の熱気が戻ってきます。標高差1,500mを一気に下りきり、ついにスタート地点でもあった「椹島(さわらじま)」に到着しました!
「帰ってきたぞー!」と心の中で叫びながら、真っ先に向かったのは休憩所。2泊3日の汗を流す前に、まずは自分たちへの最高のご褒美です。
ここで食べたアイスクリームの冷たさと甘さは、一生忘れられない味になりました。さらに、下山後のビール!この瞬間のために生きていると言っても過言ではありません。北海道の山でも下山後の楽しみは尽きませんが、この南アルプスの深い懐から帰還して飲む一杯は、喉を通る刺激が格別でした。

椹島の風景

フォレストの送迎バス

椹島からは、再び東海フォレストの送迎バスに揺られて畑薙へと戻ります。このバスの旅もまた、南アルプス南部登山の醍醐味(?)です。

崩落付近の交通整理

畑薙の受付・乗車場

バスがガタガタと林道を進む中、車窓からは厳しい自然の爪痕も見えました。
林道の崩壊地では、懸命に交通整理をしてくださる方々の姿が。こうした方々の支えがあって、私たちはこの奥深い山へ入ることができるのだと、改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

畑薙駐車場

畑薙駐車場

1時間ほどの乗車を経て、ようやく畑薙臨時駐車場に帰着。広々とした駐車場には、全国各地から集まった登山者たちの車が並び、簡易トイレなども整備されていて安心感があります。

畑薙荘(白樺荘)

ゆるキャン△の聖地

そのまま帰路につくのはもったいない!ということで、立ち寄ったのは南アルプス赤石温泉 白樺荘(旧:畑薙荘)です。ここはなんと、人気作品『ゆるキャン△』の聖地としても知られる場所。
温泉で3日間の汚れと疲れをさっぱりと洗い流し、脱衣所に掲げられたアニメのポスターやサインを眺めながら、「あぁ、本当に遠くまで来たんだな」と感慨に耽りました。

展望台から奥大井湖上駅

静岡の山道を車で下っていくと、最後にどうしても見ておきたかった景色がありました。大井川鐵道の「奥大井湖上駅」です。
ダム湖の真ん中にポツンと浮かぶように佇む駅。展望台から見下ろすその姿は、まるで鉄道模型の世界のような、あるいはファンタジー映画のワンシーンのような不思議な美しさでした。北海道の広大な原野を走る鉄路とはまた違う、険しい地形を克服して作られた日本の土木美に感動しました。

最後は、今回の旅を共にした相棒との打ち上げ会。2泊3日の行程を振り返り、悪沢岳の岩稜、赤石岳のガス、そして千枚小屋で見た光の梯子……。語り尽くせない思い出を肴に飲むお酒は、どんな高級ワインよりも贅沢な味がしました。
北海道252座、道外70座を目指す私の旅。南アルプス荒川・赤石岳は、その中でも指折りの、鮮烈な記憶として刻まれました。

【登山データ:3日目】
日程: 8月下旬
コース行程: 赤石小屋(早朝発)→ 東尾根 → 椹島(午前着・バス乗車)→ 畑薙駐車場
山の特徴: 赤石岳から椹島へ至る東尾根は、標高差約1,500mの激下り。足への負担が大きく、最後まで気が抜けない。
危険箇所: 東尾根の急勾配による転倒、膝のトラブル。林道走行中の落石(バス乗車中)。
見どころ: 東尾根から望む富士山のご来光、椹島での「文明の味(アイス・ビール)」。
立ち寄りスポット: 南アルプス赤石温泉 白樺荘(日帰り入浴可能、ゆるキャン△聖地)、奥大井湖上駅(絶景展望台あり)。
楽しみ: 下山後の温泉、そして仲間との反省会(飲み会)!