
記憶の箱舟 神話の始まりを知りたい!
神話の始まり
1. 日本の神話、特に世界の始まりである「天地開闢(てんちかいびゃく)」のお話
大昔、まだ私たちが住んでいるこの日本も、空も海もなかったころの話です。 世界はまるで、生卵の「白身」と「黄身」が混ざり合ったような、ドロドロとして形のない状態でした。
ところが、ある時、そのドロドロの中で、軽くて透明なものは上へとのぼっていき「天(あめ)」になりました。反対に、重くて濁ったものは下へと沈んでいき「地(つち)」になりました。 こうして、世界に初めて「上」と「下」ができたのです。これを「天地開闢(てんちかいびゃく)」と呼びます。
2. 最初に現れた「別天津神(ことあまつかみ)」
天ができたとき、一番高い場所にある「高天原(たかまがはら)」という神様たちの世界に、最初の神様が現れました。
その名は、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)。 宇宙の中心をつかさどる、とっても偉大な神様です。
続いて、万物を生み出すエネルギーを持つ2柱(ふたはしら:神様を数える単位)の神様が現れました。高御産巣日神(タカミムスビノカミ)・神産巣日神(カミムスビノカミ)
この最初の3柱の神様は、性別がなく、姿を見せたかと思うと、すぐにどこかへ隠れてしまいました。その後、さらに2柱の神様が現れます。
これら合計5柱の神様は、特別に重要な神様として「別天津神(ことあまつかみ)」と呼ばれています。いわば、世界の「土台」を作った神様たちです。
3. 次々に生まれる「神世七代(かみよななよ)」
世界が少しずつ整ってくると、次に「神世七代(かみよななよ)」と呼ばれる神様たちが順番に現れます。
最初は、まだ泥のように固まっていない地球の状態を表すような神様が独り立ちで現れ、その後に「男の神様」と「女の神様」がペアで現れるようになりました。
国之常立神(クニノトコタチノカミ)
豊雲野神(トヨクモノノカミ)
(ここからペア)宇比地邇神・須比智邇神
角杙神・活杙神
意富斗能地神・大斗乃弁神
於母陀流神・阿夜訶志古泥神
伊邪那岐神(イザナギノカミ)・伊邪那美神(イザナミノカミ)
この最後に生まれたペアこそが、皆さんも名前を聞いたことがあるかもしれない、イザナギとイザナミです。
4. 国生みのスタート:ドロドロをかき混ぜる
ある日、天にいた神様たちは、最後に生まれたイザナギとイザナミにこう命じました。 「まだクラゲのように漂っているこの地上を、立派な国に作り固めなさい」
神様たちは、宝石をちりばめた美しい槍(あめのぬぼこ)を二人に授けました。 二人は天と地を結ぶ虹の架け橋「天の浮橋(あめのうきはし)」に立ち、下界(げかい)のドロドロに向かって槍を突き立て、**「コオロコオロ」**とかき混ぜました。
そして、槍をそっと引き上げると、その先から潮がしたたり落ち、それが積み重なって一つの島ができました。これが、日本で最初にできた島「オノゴロ島」です。
5. 日本の島々と神様たちの誕生
二人はオノゴロ島に降り立ち、立派な御柱(みはしら)を立てて結婚の約束をしました。 ここから、二人は協力して次々と島を生み出していきます。
淡路島、四国、隠岐(おき)の島、九州、壱岐(いき)の島、対馬(つしま)、佐渡(さど)ヶ島……そして最後に、一番大きな本州が生まれました。 これらをまとめて「大八島国(おおやしまのくに)」、つまり今の日本の形ができあがったのです。
島を作ったあと、二人はさらに、石や木、海や川、風や山の神様など、自然の中にあるあらゆる神様を生んでいきました。

まとめ:神話が教えてくれること
日本の神話(記紀神話)は、天地開闢(てんちかいびゃく)により混沌から天と地が分かれ、高天原(たかまがはら)に神々が出現したことから始まります。その後、伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)が天の沼矛(あめのぬぼこ)で国生みを行い、オノコロ島を形成して日本列島や神々を生み出しました。
日本神話の始まりのプロセス
天地開闢と神の出現: 世界が脂のよう漂う中で、天之御中主神(アメノミナカヌシ)など、特別な神々が高天原に現れました。
国生み(イザナギ・イザナミ): 天つ神の命を受け、イザナギとイザナミが天の浮橋に立ち、矛で潮をかき回して島々を造りました。
オノコロ島: 矛から滴り落ちた塩が積もってできた最初の島。この島で2柱の神は結婚し、淡路島や本州など「大八島(おおやしま)」を形成しました。
この物語は8世紀前後の『古事記』『日本書紀』によって体系化され、各地の伝承も取り込んで大和政権の神話へと統合されていきました。
日本の神話は、最初から完璧な世界があったわけではなく、「何もないところから、神様たちが協力して少しずつ形を作っていった」という物語です。
また、最後に出てきたイザナギとイザナミが、今の私たちが住むこの日本を作ってくれた親のような存在として描かれています。山や川、木の一本一本にまで神様が宿っていると考える日本の文化は、この「天地開闢」のお話から始まっているのです。


