
登山探検 函岳を登ってみたい!
函岳◆(加須美峠、道北スーパー林道コース)

「道北に、車で行ける最高のご褒美がある」……そんな噂を聞いて向かったのは、美深町、音威子府村、枝幸町の3町村にまたがる標高1,129mの山、函岳です。7月中旬の爽やかな風を求めて、いざ道北スーパー林道のロングドライブへ出発しました。


国道40号から道道680号へ入り、いよいよ未舗装の「道北スーパー林道」へと足を踏み入れます。ここからが本当の探検の始まり。林道入口では、まるで「どこへ行くの?」と問いかけるような愛くるしいキツネが、ゲートの横で見守ってくれていました。

林道入口から約17km、深い森の中を走り抜けると「加須美峠」に到着します。ここは美深側と歌登側を結ぶ分岐点。ここを左折し、さらに山頂を目指します。美深市街からは実に約38km。標高が上がるにつれ、視界がパッと開け、まるで空の中を走っているような感覚に陥ります。
山頂まで残り5km地点。目の前に現れたのは、北海道とは思えないほど真っ直ぐに伸びた「砂利道の直線道路」です。その先には、目指す函岳の頂が堂々と鎮座しています。この光景を目にした瞬間、遠路はるばるやってきた疲れは一気に吹き飛びました。


終点の駐車場に車を止めると、そこには立派な「函岳ヒュッテ(管理棟)」と広々とした駐車場がありました。ここからは歩いてすぐです。通行止めのゲートの先には、函岳のシンボルとも言える巨大な気象レーダードームが、青空に白く映えています。


一方で、足元に目を向けると、厳しい冬を耐え抜いた高山植物たちが7月の陽光を浴びて可憐に咲き誇っています。それまでの穏やかな稜線とは対照的に、北側を覗き込めば、吸い込まれそうな垂直の断崖絶壁。このギャップこそが函岳の魅力かもしれません。

山頂標識の向こう側には、どこまでも続く大雪山系の山々や、天気が良ければ利尻富士まで見渡せる360度のパノラマが広がります。特に目を引くのは、南東へと続く尾根の先にどっしりと構える「尾根棟山」の姿。緑の絨毯を敷き詰めたような稜線が、幾重にも重なり合っています。


山頂に立つと、そこには威風堂々とした「一等三角点」が設置されていました。点名は漢字で「凾岳」。この山は北海道百名山の一つであり、その名前の由来は、山頂付近の岩の形が「箱」に似ていることからきているといわれています。
また、この山には切ない「孝子の伝説」が伝わっています。その昔、病の母のために冬の函岳へ薬を探しに入り、命を落とした親孝行な娘・孝子の物語。今では穏やかな景色が広がっていますが、かつての険しい自然の一面を物語るエピソードです。


